馬の特徴・習性
~馬のことをどのくらい知っていますか?~
馬は古くから人と一緒に暮らしてきた優しくて賢い動物です。性格はぞれぞれ個性がありますが、草食動物としての体の特徴や習性はどの馬も一緒。周囲を察知する能力が高く、環境の変化に敏感に反応するなど臆病な一面もあります。
馬の目
馬の目の大きな特徴は何と言っても視界の広さ。真後ろ以外の350度を見渡せ、左右の目で別々のものを認識することができるため草を食べているときも周囲の様子をきちんと見ています。
ちなみに夜の暗がりでもその視界はハッキリとしています。
馬の耳
馬の耳はとても発達していて、周囲の様子を感じ取るのに非常に重要な役割を果たしています。常に興味や注意を示す方向にクルクル動かしているので、じっくり観察してみると今どの音に反応しているのかがわかります。
馬の鼻
馬は人間が近寄っていくと鼻を近づけてきます。
これは嗅覚で相手を認識しようとするしぐさで、特定の相手の匂いを覚え嗅ぎ分ける記憶力もあります。ちなみに馬は鼻で呼吸をしています。
馬の足・蹄
馬の足(蹄)は、人間に置き換えると中指にあたり、速く走るために中指以外が退化し、爪が蹄として発達してきました。蹄はとてもデリケートで定期的に専門の人にお手入れをしてもらいます。
走る速度は、個体差があるものの40~70kmの速度で走ることができます。ちなみに馬の歩法は、常歩(なみあし)~速歩(はやあし)~駈歩(かけあし)~襲歩(しゅうほ)の順で速くなっていきます。
馬の口・歯
馬の口は、歯の生え方に特徴があります。前歯と奥歯の間に「歯槽間縁」と呼ばれる歯が生えていない隙間があり、ここにハミをかませることで手綱操作のサインを送ることができるようになりました。馬と人間が行動を共するようになったのはこの特徴があったからと言われています。
馬は咬むの?とよく疑問をもたれますが、きちんと調教されている馬であればよほどのことがない限り咬むことはありません。
馬の尾
馬のしっぽは付け根から数十センチまで骨が通っていて、そこから長い毛が生えています。長い毛は虫を追い払うのに大活躍するため、虫が飛び交う季節になると馬はさかんにしっぽを振るようになります。また、気分が高揚している時は尾を高く持ち上げ、恐怖を感じた時は両後肢の間に巻き込んだりと、尾の動きからも馬の感情を読み取ることができます。
馬のきもち
~馬のしぐさから気持ちや感情を読みとろう~
馬は感情表現が豊かな動物です。言葉を交わすことはできなくとも、体のさまざまな表情やしぐさから感情を読み取ることができます。
嬉しい・
気持ちがいい
尻尾を高く振り、軽やかな足取りで駆け回っているときは見るからに嬉しそうな表情をしています。立ち上がったり、後ろ足で蹴るしぐさもまれに見られますが、これも嬉しさからの行動で悪気は無いようです。またブラッシングなどをしているときに鼻をのばしたり目を細めているときは気持ちがいいとき。
甘える・
かまってほしい
目をほそめて頭や鼻をすり寄せてくるのは甘えたいときにするしぐさで、信頼している人によく見せる表情です。「前掻き」と呼ばれ地面を前足でかくようなしぐさは、何か欲しいときや注意を引きたいときです。前掻きをしているときは足を踏まれないよう注意しましょう。
緊張・警戒
首を高く上げ、一点に向かってジーッと視線と耳を向けているときは警戒をしているサインです。
また、険しい目つきで耳を後ろにぴたっと伏せたときは何かに怒っているサインです。よほどのことがない限りこうはなりませんが、鼻にシワを寄せて歯をむき出している場合は、刺激を与えたりむやみに近づかないでください。
馬と仲良くなろう!
馬は、初めて会う人や見るモノや音に対して、興味をもつと同時に警戒もします。これは人間も同じではないでしょうか。「馬とのコミュニケーション=信頼関係を築くこと」と言っても過言ではありません。優しさと礼儀をもってコミュニケーションをとって馬と仲良くなりましょう。
馬にふれるとき
馬の横からゆっくり近寄り手の甲を鼻先に近づけて自分の匂いを認識してもらいましょう。これは人でいう「はじめまして」という挨拶と同じです。次にフレンドリースポットと呼ばれる首の付け根あたりをやさしく触ってあげてください。馬も人もこわいと感じなくなることが大切です。走って近づいたり、いきなり触れたり、突然大きな声を出すのはNG。
馬に騎乗するとき
騎乗するときは、はじめにやさしく馬に触れてよろしくね、と声をかけてから騎乗しましょう。
馬は人間の気持ちを察知します。騎乗者が不安がっていたり慌てたりするとそれが馬に伝わり不信感を抱いてしまうこともあります。騎乗するときはリラックスしてしっかりリーダーシップをとり明確な指示を与えましょう。手綱操作は、強く引っ張ったりしなくともサインを的確に送ればしっかり動いてくれます。指示どおりにできたら撫でながら声をかけて褒めてあげてください。
お手入れをしてみよう
「厩(うまや)七分に乗り三分」という言葉があるとおり、馬とかかわるうえでお手入れやお世話はとても重要なものです。乗馬ができる馬=たくさんの愛情と手間が注がれている証です。馬はこの愛情を受けていることをわかっているからこそ人間を信頼し、言うことを聞いてくれるのです。これも日頃のお世話やお手入れがあってこそ。乗ってばかりより、優しくお手入れもしてくれる人を馬は好きになってくれるでしょう。少しの時間でもブラッシングをしてあげたり、蹄の掃除をしてあげることで馬との距離がグッと近くなります。
ポイントまとめ
- ・馬に触れるときは、ご挨拶をしてから首の付け根あたりから触りましょう
- ・やさしく声をかけ、たくさん褒めてあげましょう
- ・リラックスした気持ちで騎乗しましょう
- ・馬が迷わないよう的確な指示を出してあげましょう
- ・馬の真後ろは死角部分。ふいに蹴られたりしないよう真後ろには立たない
- ・何かの拍子で前進してくる可能性があるので真正面に立たない
- ・個体にもよりますが、不快に感じる馬もいるため、尻尾などの体の先端やおなかに触れない
- ・馬が驚き警戒してしまわないよう、大きな声を出さない、走って近づかない、いきなりさわらない
- ・耳がうしろに伏せているときは馬が怒っていたり不機嫌なサイン。むやみに近づかない